ゆったりとした休日の朝。夕凪家では朝食の用意がされていた。エプロンをつけた青年、巫斗は、慣れた手つきでシャケの塩焼きを皿に乗せる。
是奈「お兄ちゃん、このお皿は誰の?」
巫斗「青葉(あおは)さんのだね。頼んだよ、是奈(ぜな)」
青葉「若様、テレビをつけまするぞ」
巫斗「お願いします、青葉さん」
神樹「巫斗君、準備できたよ」
巫斗「ありがとう、神樹(みき)。すぐにいくよ」
テキパキと質素な和食の朝ごはんが並べられ、四人は席に着く。
巫斗「それでは、いただきます」
是奈、青葉、神樹「「「いただきます」」」
夕凪家の食事は、賑やかなおしゃべりをすることがほとんどだ。
神樹「最近は騎士の仕事、どうなの?」
巫斗「この間は異世界に巻き込まれたけど、あれは偶然だったからカウントしないとして……。そろそろ依頼が来そうかも。初めての魔獣討伐依頼が来るかもしれないね」
是奈「わたしは騎士のお仕事、嫌い。お兄ちゃんが戦って怪我しちゃうんだもん」
巫斗「でも、僕の力でみんなを救えるのならね。『施しを怠ることなかれ』。夕凪家の家訓でもあるし」
青葉「妹様、そこは私(わたくし)めが全力を持ってサポートさせていただきます。心配なさるるな」
巫斗「ありがとうございます、青葉さん」
その時、特徴的なメロディが流れる。それは巫斗のK-phoneからであった。
巫斗「!? 噂をすればってことかな? 失礼するね」
K-phoneをとり、部屋の隅に移動する巫斗。
清水「お忙しいところすみません。円卓の騎士本部の清水冬美です。魔獣討伐の依頼をしに連絡をしました。よろしいでしょうか?」
巫斗「……はい、大丈夫です。詳細をお願いします」
清水「九州で大量殺人事件が起きています。調査の結果、魔獣によるものだと判明しました」
巫斗「そうなんですね」
清水「依頼を受けていただけますでしょうか?」
巫斗「ええ。了解致しました。全力を尽くします」
清水「では、よろしくお願いいたします。すぐに現場に向かってください」
電話が切れ、K-phoneの画面がスリープモードになる。巫音は食卓に戻り、神妙な面持ちで席に着いた。
巫斗「……本当に来ちゃったよ、魔獣討伐依頼。すぐに現場に向かってくださいだって。ご飯を食べたらすぐに青葉さんと一緒に向かうね」
そう言って白米を胃の中に掻き込む。
是奈「えー。行っちゃうの?」
神樹「行ってらっしゃい。頑張ってね。生きて帰ってこなかったら許さないから」
青葉「姫様、心配無用です。若様にはこの天尾羽張がついておりますから」
巫斗「ふふっ。みんなありがとう。ごちそうさま。……じゃあ、行こうか、天尾羽張」
青葉「御意」
巫斗と青葉が拳を打ちつけあうと、青葉の姿が神々しい剣に変わる。巫斗は青葉——天尾羽張を掴み取って玄関に行き、靴を履いた。
巫斗「それじゃ、行ってきます」
是奈、神樹「「行ってらっしゃい!」」
次の瞬間、巫斗と天尾羽張の姿が二人の前からかき消える。天尾羽張の瞬間移動能力によるものだ。
神樹と是奈は二人で微笑み合うと、朝食の続きを食べに戻っていった。
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