久しぶりに雨のあがった、しかしまた泣き出しそうな曇天。水戸は軸無懐と屋上で休憩していた。
世間一般様は夏休みに入りつつあるが、今年は夏休みも短いらしい。オンライン授業を行っている俺らには関係ねぇな、と水戸は零す。
「カイドウの面談は終わったのか」
軸無懐から切り出された言葉に、水戸は生返事を返す。
「やっぱり、進路を変える気はないらしい。持ったいねぇなぁ、あいつの数学と物理の成績はぶっ壊れなのによ」
「国語の成績もやばいぜ。あと、端々で英語も聞くが何もかも上手すぎる」
彼女は今年3年の優等生だ。大学進学を希望しており、それに関しては全教員が首を縦に降っている。問題は、その後。
「化け物みてぇな成績なんだから学者にでもなりゃいいのに、巫女ねぇ.......」
彼女は1年の頃からその「将来の夢」だけは譲らなかった。理由は分からない。話してくれないのだから。
「今年受験だから応援はするが、将来のことはもう少し詰めてみるよ」
「頑張れよ、数字の天才」
「5:170875368:.......」
ふっと息とともに言葉を漏らす。その時、ベルが鳴った。彼は僅かに目を伏せ、電話を取った。
「もしもし、水戸だが」/